ジルコニア耐火材とは|種類・特徴・物性データと用途比較ガイド

ジルコニア耐火材とは: 主成分がジルコニア (ZrO₂) の高級耐火材で、耐火度は2400℃以上。高温下でも化学的に安定し、熱伝導率が低く断熱性に優れています。ガラス溶融炉、特殊鋼製造、連続鋳造ノズルなど極限環境で利用されます。

ジルコニア耐火材とは?

ジルコニア(Zirconia, ZrO₂)は高融点(約2700℃)を持つ酸化物で、中性耐火材に分類されます。 化学的に安定で、酸性・塩基性スラグの両方に強いため、汎用耐火材では対応できない過酷な環境に用いられます。

物性と特徴

  • 化学式:ZrO₂
  • 融点:約2700℃
  • 密度:5.6–6.0 g/cm³
  • 熱伝導率:2–3 W/m·K(低い=断熱性良好)
  • 特徴:高強度・耐熱衝撃性・耐スラグ性・化学的安定性

ジルコニア耐火材の種類

種類 特徴 用途
部分安定化ジルコニア (PSZ) イットリア等で安定化。高強度・耐熱衝撃性に優れる 連続鋳造ノズル、鋳型ライニング
融合ジルコニアレンガ 高純度で耐食性が高い ガラス溶融炉の接触部材
ジルコン質耐火材 (ZrSiO₄) ジルコニア+シリカ。コスト効率良い 鋳型材、セラミックス炉

主な用途

  • ガラス産業: ガラス溶融炉の接触耐火材。
  • 鉄鋼産業: 連続鋳造ノズル、タンディッシュライニング。
  • セラミックス: 焼成炉、構造部材。
  • 化学工業: 反応炉の内張り。

他の耐火材との比較

項目 ジルコニア耐火材 高アルミナ耐火材 炭化ケイ素耐火材
融点 約2700℃ 約1800℃ 約2700℃(分解点)
熱伝導率 低い (断熱性良好) 中程度 高い (放熱性良好)
化学安定性 酸・塩基どちらにも強い 比較的中性 酸化雰囲気に弱い
用途 特殊炉、高級用途 セメント炉・鉄鋼炉 特殊高温構造材

よくある質問(FAQ)

ジルコニア耐火材の寿命は?

使用条件に依存しますが、ガラス炉では5年以上使用されるケースもあります。

コストは高いですか?

はい。アルミナやマグネシアより高価ですが、寿命が長いためトータルコストでは有利な場合もあります。

部分安定化ジルコニアとは?

イットリア (Y₂O₃) などで安定化したZrO₂で、常温でも強度と靭性が高い材料です。

参考文献・規格

  • JIS R 2205: 耐火煉瓦規格
  • ISO 1927: Monolithic Refractories
  • ASM Handbook: Properties of Refractories
  • 日本耐火物協会 刊行資料

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