炭化ケイ素(Silicon Carbide, SiC)は、研削砥石、サンドブラスト、ラッピング・ポリッシング、耐火物、セラミックスなど、幅広い産業分野で使用される重要な材料です。しかし、カタログ上のスペックや価格だけでサプライヤーを選ぶと、ロットごとの品質ばらつきや研削性能の不安定さに悩まされるケースも少なくありません。
要約(Quick Answer)
炭化ケイ素は、石英砂(SiO2)とコークスなどの炭素源をアチソン炉で2,000℃以上に加熱して製造されます。その後、炉塊を破砕・磁選・洗浄・乾燥し、FEPA F12〜F220、マイクロパウダー F230〜F1200、JIS 粒度などに分類します。信頼できるサプライヤーを選ぶ際は、製造プロセスの管理レベル、粒度分布(PSD)、磁性異物の管理、QC 試験体制、輸出実績、納期と荷姿などを必ず確認することが重要です。
目次
- 炭化ケイ素とは?主な用途とグレード
- 炭化ケイ素の製造プロセス概要
- 原料とアチソン炉での反応
- 破砕・磁選・洗浄・乾燥プロセス
- 粒度管理:FEPA・JIS・マイクロパウダー
- 品質管理(QC):発注前に確認すべき試験項目
- 海外炭化ケイ素サプライヤー選定のチェックポイント
- CanAbrasive が日本のお客様に選ばれる理由
- FAQ(よくあるご質問)
1. 炭化ケイ素とは?主な用途とグレード
炭化ケイ素(SiC)は、硬度が非常に高く、熱伝導性・耐熱性・耐摩耗性に優れたセラミック材料です。代表的なグレードとして、以下の2種類があります。
- ブラック SiC:やや靭性が高く、研削砥石・切断砥石・サンドブラストメディア・耐火材料向けに広く使用。
- グリーン SiC:高純度・高硬度で脆性が高く、ガラス・セラミックス・タングステンカーバイドなどの精密研削・ラッピング・ポリッシング向け。
用途によって必要な粒度(F12〜F1200、JIS 600〜8000 等)や化学成分、バルク密度が異なるため、単に「SiC 99%」というスペックだけでなく、製造プロセスと粒度管理のレベルが非常に重要になります。
2. 炭化ケイ素の製造プロセス概要
一般的な研磨グレード炭化ケイ素は、以下のステップで製造されます。
- 高純度の石英砂とコークスなどの炭素源を調合
- アチソン炉に装入し、電力により2,000℃以上で数日間加熱
- 冷却後、生成したSiC炉塊を取り出し、ゾーンごとに選別
- 破砕・粉砕・磁選・洗浄・乾燥
- 振動ふるい・エアセパレーター・ジェットミル等で粒度分類
- FEPA・JIS・ANSI 規格に基づく粒度検査と最終検査
この中で、炉の運転条件、破砕と磁選の工程、粒度分級・検査の精度が、サプライヤーごとの差となるポイントです。
3. 原料とアチソン炉での反応
炭化ケイ素の基本反応は次の通りです。
SiO2 + 3C → SiC + 2CO↑
そのため、サプライヤーが使用する原料の品質は非常に重要です。
- 石英砂(SiO2):高純度で、Fe2O3や不純物が少ないもの。
- 炭素源:石油コークスや無煙炭など。硫黄分や灰分が低いほど望ましい。
アチソン炉では、中心の電極付近に高品質のSiC層が形成されます。加熱時間・最大温度・冷却速度が適切でないと、未反応物や脆い結晶が増え、研削性能や歩留まりに悪影響を与えます。
4. 破砕・磁選・洗浄・乾燥プロセス
炉塊から得られたSiCは、砕石機で数センチサイズまで破砕され、その後さらに細かく粉砕されます。この段階で、金属摩耗粉などの異物が混入しやすいため、信頼できるサプライヤーは複数段階の磁選を行っています。
- 一次破砕:ジョークラッシャー等で粗破砕
- 二次破砕:インパクトクラッシャー等で粒度を細かく
- 磁選:強磁選機で金属異物を除去
- 洗浄:高品位グレードでは水洗により粉塵や可溶成分を除去
- 乾燥:ロータリードライヤーや乾燥室で水分を管理
特にラッピング・ポリッシング用マイクロパウダーでは、磁性異物の管理レベルが品質を大きく左右します。購買時には、サプライヤーに磁選設備や管理基準を確認することをおすすめします。
5. 粒度管理:FEPA・JIS・マイクロパウダー
研磨用途では、粒度の安定性が最も重要な要素の一つです。一般的な粒度区分は以下の通りです。
- マクロ粒度(FEPA F12〜F220):サンドブラスト、研削砥石、耐火物用など。
- マイクロパウダー(F230〜F1200、JIS 600〜8000):ラッピング・ポリッシング、精密研磨、セラミックス用など。
優良なサプライヤーは、振動ふるい・エアセパレーター・ジェットミル・レーザー粒度分析装置などを組み合わせ、以下のような項目を管理しています。
- D10 / D50 / D90 の管理
- オーバーサイズ/アンダーサイズの許容範囲
- 粒度分布のロット間安定性
6. 品質管理(QC):発注前に確認すべき試験項目
炭化ケイ素サプライヤーを比較する際は、以下のQC項目を確認すると、工場の実力が見えやすくなります。
- 化学成分:SiC 含有量、自由炭素、SiO2、Fe2O3 など。
- バルク密度/タップ密度:砥石設計や耐火物配合に直接影響。
- 磁性異物含有量:ラッピング・ポリッシング用途では特に重要。
- 粒度分布(PSD):ふるい試験またはレーザー粒度分析。
- 外観検査:色調、結晶形状、粗大異物の有無。
サプライヤーに対して、ロットごとの COA(検査成績書) や、必要に応じて第三者機関(SGS 等)の試験結果を提出できるかどうかを事前に確認しておくと安心です。
7. 海外炭化ケイ素サプライヤー選定のチェックポイント
海外サプライヤーと長期的に取引する場合、価格以外にも以下のポイントを重視することをおすすめします。
7.1 技術・生産能力
- 自社でアチソン炉を保有しているか、単なるトレーダーか。
- ブラック SiC とグリーン SiC の両方を製造・供給できるか。
- マクロ粒度だけでなく、F600・F800・F1000 などのマイクロパウダーにも対応しているか。
7.2 品質管理体制
- 自社ラボを持ち、定期的に化学成分・PSD・磁性異物を測定しているか。
- サンプルと量産品の品質差が小さいか。
- クレーム発生時の原因分析と対策報告ができるか。
7.3 輸出実績・納期
- 日本・韓国・欧州・米国向けの出荷実績があるか。
- 1コンテナ(約20〜25トン)の標準リードタイムがどのくらいか。
- FOB / CIF / DAP / DDP など、希望条件での対応が可能か。
7.4 荷姿と在庫運用
- 25kg 紙袋/PP袋、500〜1000kg フレコンバッグ、パレット梱包に対応しているか。
- 長期在庫による吸湿・結塊への対策を行っているか。
8. CanAbrasive が日本のお客様に選ばれる理由
中国の炭化ケイ素サプライヤーを検討されている日本のお客様向けに、CanAbrasive の特徴を簡単にまとめます。
- ブラックSiC・グリーンSiCともに対応し、F12〜F1200およびJISマイクロパウダーまでフルレンジ供給。
- アチソン炉から破砕・分級・検査まで一貫管理し、ロット間の安定性を重視。
- SGS等の第三者試験にも対応可能なQC体制。
- 日本・韓国・欧州・中東など40カ国以上への輸出実績。
- 25kg袋・フレコン・パレット梱包など、輸入後のハンドリングを考慮した荷姿提案。
詳細なグレードや仕様については、以下のサプライヤーページをご参照ください。
炭化ケイ素サプライヤー – CanAbrasive(日本語ページ)
9. FAQ(よくあるご質問)
Q1. ブラックSiCとグリーンSiCはどう使い分ければよいですか?
一般的に、ブラックSiCは切断砥石・研削砥石・サンドブラスト・耐火物向けに適しています。グリーンSiCはより高純度で硬度が高く、タングステンカーバイド・セラミックス・ガラスなど、硬くて脆い材料の精密研磨に向いています。
Q2. 初回発注の前にどの程度の量をテストすべきですか?
新規グレードの場合、まずは25kg〜数百kg程度でテストし、砥石やコンパウンドの配合に合わせた最適粒度・グレードを決定されることをおすすめします。その後、1コンテナ単位での量産切替えがスムーズになります。
Q3. 納期の目安はどのくらいですか?
標準的なF12〜F220のマクロ粒度であれば、通常は入金確認後7〜15日程度で出荷が可能です。マイクロパウダーや特殊仕様の場合は、15〜25日程度を目安としております。
Q4. 日本向けの輸出経験はありますか?
はい、日本向けの研削砥石メーカー様・研磨材商社様への出荷実績があります。インボイス・パッキングリスト・原産地証明書など、必要な書類の発行も対応可能です。