Quick Answer: 合成コランダム(Synthetic Corundum)とは、酸化アルミニウム(Al₂O₃)を高温で溶融・再結晶させて得られる 人工のアルミナ結晶です。天然のサファイアやルビーと同じ結晶構造を持ち、 高硬度(モース硬度9)・耐摩耗・耐熱・絶縁性に優れ、研磨材・耐火材・宝石・電子部品など多様な用途に使われます。
目次
1. 合成コランダムとは
コランダム(Corundum)は酸化アルミニウム(Al₂O₃)を主成分とする鉱物で、天然ではルビーやサファイアとして産出します。 一方、合成コランダムはボーキサイトなどを原料に、電気アーク炉で約2000℃以上に加熱して溶融・冷却し、 人工的に再結晶させたアルミナ結晶です。 工業用途では「褐色電融アルミナ(BFA)」や 「白色電融アルミナ(WFA)」として流通しています。
2. 主な特徴と物性
- 高硬度: モース硬度9で、ダイヤモンド・炭化ホウ素に次ぐ硬さ。
- 高融点: 約2050℃の高い耐熱性を持つ。
- 化学的安定性: 酸やアルカリに強く、腐食に耐える。
- 高絶縁性: 優れた電気絶縁材料として機能。
- 高靭性(BFA)・高純度(WFA): 用途により調整可能。
項目 | 代表値 |
---|---|
化学式 | Al₂O₃ |
モース硬度 | 9 |
融点 | 約2050℃ |
真比重 | 3.9–4.0 g/cm³ |
熱膨張係数 | 7–8×10⁻⁶/K |
熱伝導率 | 20–30 W/m·K |
3. 製造方法(電融プロセス)
合成コランダムは主に電気アーク炉で製造されます。
- 原料として高品位ボーキサイトや酸化アルミニウムを準備。
- 約2000℃以上で電気アークにより溶融。
- 徐冷してコランダム結晶を析出。
- 破砕・分級・磁選を経て目的の粒度へ調整。
不純物の種類により、褐色(BFA)・白色(WFA)・ピンク・ルビー調など色調が変化します。
4. 天然コランダムとの違い
項目 | 合成コランダム | 天然コランダム |
---|---|---|
生成方法 | 電融による人工結晶 | 地質学的プロセスで生成 |
純度 | 制御可能(95–99.9% Al₂O₃) | 不純物が多く均一性が低い |
コスト | 大量生産で安定供給 | 産地・品質により変動 |
用途 | 研磨材・耐火材・工業用途 | 宝石・装飾用途 |
5. 主な用途
- 研磨材: サンドブラスト、研削砥石、研磨布紙。
- 耐火材: 高温炉内張り、キャスタブル、レンガ原料。
- 電子部品: 絶縁基板、セラミック封止材。
- 宝石用途: 合成サファイア・ルビーとしても応用。
6. FAQ(よくある質問)
Q1. 合成コランダムとアルミナは同じですか?
A. 化学的にはどちらもAl₂O₃ですが、「合成コランダム」はアルミナの結晶形(α型)を示し、結晶構造が明確なものを指します。
Q2. どのようにBFA/WFAとして使われますか?
A. 粉砕・分級後、粒度F12–F220などの研磨グリットとして使用されます。 BFAガイド や WFAガイドもご覧ください。
Q3. SiCと比べた特徴は?
A. SiCは熱伝導性に優れ、アルミナは絶縁性・安定性に優れます。用途条件により選定します。