アルミナ(Al₂O₃, Alumina)とは: 酸化アルミニウムを主成分とする化合物で、白色アルミナ(WFA)と褐色アルミナ(BFA)の2種類が代表的です。高硬度・耐摩耗性・耐熱性に優れ、研磨材、耐火材、セラミックス、電子部品など幅広い用途に用いられています。
アルミナの基本情報
アルミナは酸化アルミニウム(Al₂O₃)の通称で、天然ではボーキサイトに多く含まれています。工業的には電気炉で溶融し冷却することで溶融アルミナを製造します。純度や製法の違いから白色アルミナ(WFA)と褐色アルミナ(BFA)に分類されます。
種類(白色アルミナ・褐色アルミナ)
種類 | 特徴 | 純度 | 用途 |
---|---|---|---|
白色アルミナ (WFA) | 高純度(>99%)、硬度高い、色は白色 | 99%以上 | 精密研磨、電子部品、耐火材 |
褐色アルミナ (BFA) | Fe₂O₃などの不純物を含む、靭性高い | 95–97% | 鋼材研削、サンドブラスト、耐摩耗材 |
物性・結晶構造(α型/γ型)
アルミナは結晶構造の違いにより、α-アルミナとγ-アルミナに大別されます。
型 | 結晶系 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
α-アルミナ | 六方晶 | 安定型、硬度・耐熱性高い | 研磨材、耐火材、セラミックス |
γ-アルミナ | 立方晶 | 比表面積大きい | 触媒担体、吸着剤 |
製造方法と形態
- 溶融法: ボーキサイトを電気炉で溶融し急冷 → WFA・BFA
- 沈殿法: 高純度アルミナ粉末(電子材料用)
- 焼結法: 粉末を成形し耐火レンガなどに加工
形態としては、粉末(マイクロパウダー)、グリット、ブロック、セラミック部材などがあります。
用途と応用分野
- 研磨材: 研磨布紙、ラッピング材、研削砥石
- 耐火材: 炉材、鋳物用耐火ブロック、断熱材
- 電子部品: 基板、封止材
- 触媒担体: γ-アルミナを利用した化学触媒
選定ポイントと比較表
調達時の比較要素:
- 純度(95–99%以上)
- 硬度と靭性のバランス
- 粒度(FEPA/JIS規格対応)
- 用途(精密研磨か耐摩耗材か)
要素 | 白色アルミナ (WFA) | 褐色アルミナ (BFA) |
---|---|---|
純度 | 99%以上 | 95–97% |
硬度 | 高い | やや低いが靭性あり |
コスト | 高価 | 安価 |
用途 | 精密研磨、電子部品 | 鋼材研削、サンドブラスト |
よくある質問(FAQ)
白色と褐色アルミナの違いは?
白色アルミナは高純度・高硬度で精密用途向け、褐色アルミナは不純物を含み靭性が高く、コスト効率の良い研削用途向けです。
アルミナのモース硬度は?
約9で、炭化ケイ素やダイヤモンドに次ぐ硬度を持ちます。
耐火材としてのアルミナの特徴は?
高温下でも安定した化学的性質を保ち、炉材や鋳物用ブロックに最適です。
参考文献・規格
- JIS R 6121: アルミナ研削材規格
- FEPA Standard for Fused Alumina
- ISO 8486: Fused Alumina specifications
- Elsevier: "Alumina: Fundamentals and Applications"