高性能セラミックスとして注目される窒化ケイ素(Si₃N₄)と炭化ケイ素(SiC)。両者は軽量かつ高硬度の材料であり、自動車、半導体、耐火材、機械部品など幅広い分野で利用されています。本記事では、両者の物性・用途・コストを比較し、最適な選択のヒントを提供します。
基本特性の比較
項目 | 窒化ケイ素 (Si₃N₄) | 炭化ケイ素 (SiC) |
---|---|---|
硬度 (モース硬度) | 約 8.5–9 | 約 9–9.5 |
密度 | 約 3.2 g/cm³ | 約 3.1–3.2 g/cm³ |
耐熱温度 | 約 1,300–1,400℃ | 約 1,600–1,800℃ |
熱伝導率 | 低〜中 (25 W/mK 前後) | 高 (120–200 W/mK) |
耐食性 | 酸・アルカリに強い | 酸化雰囲気にやや弱い |
価格 | 高め | 比較的安価 |
主な用途
窒化ケイ素(Si₃N₄)の用途
- 自動車エンジン部品(ターボチャージャーローター、ベアリング)
- 切削工具、機械部品
- 高温構造材料(ガスタービンブレード等)
- 電子部品用の基板材料
炭化ケイ素(SiC)の用途
- 研磨材・研削材(黒色SiC、緑色SiC)
- 耐火材(炉材、キャスタブル、ブリック)
- 半導体用基板(パワーエレクトロニクス)
- セラミック部品(ポンプシール、耐摩耗部品)
長所と短所
窒化ケイ素の強みは、耐衝撃性と耐熱衝撃性に優れ、機械部品や高強度用途に最適な点です。ただし、製造コストが高く、材料費も割高です。
炭化ケイ素の強みは、高硬度・高熱伝導率・耐摩耗性であり、研磨材・耐火材として広く利用されています。一方で、酸化環境下では劣化しやすい特性があります。
どちらを選ぶべきか?
- 高温下でも熱衝撃に強い部品が必要 → 窒化ケイ素
- 研磨・耐火・高熱伝導用途 → 炭化ケイ素
- コスト重視 → 炭化ケイ素
- 精密機械部品や半導体部品 → 窒化ケイ素(または高純度SiC)
まとめ
窒化ケイ素と炭化ケイ素はどちらも高性能なセラミックスですが、「強度・耐衝撃性」を重視するなら窒化ケイ素、「硬度・耐摩耗性・コスト」を重視するなら炭化ケイ素が適しています。用途や予算に応じて、最適な材料を選定することが重要です。
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