Quick Answer: シリコン(Si)の融点は約1414℃です。これは金属と非金属の中間的な性質を持つ半金属特有の高融点であり、結晶構造が非常に安定しているためです。シリコンは半導体材料や耐熱材料として広く利用され、炭化ケイ素(SiC)などの複合材料にも応用されています。

1. シリコンとは?

シリコン(化学式:Si)は、原子番号14の元素で、周期表では炭素族に属します。 天然では酸素に次いで地殻中に多く存在し、主に石英(SiO₂)やケイ酸塩鉱物の形で見られます。

純粋なシリコンは灰色の光沢を持つ結晶体であり、金属のような外観をしていますが、電気的性質は半導体に分類されます。 そのため、半導体、太陽電池、セラミックス、合金材料など、多くの分野で不可欠な基礎材料です。

2. シリコンの融点とその理由

シリコンの融点は1414℃(1687 K)です。 この値は一般的な金属(アルミニウム:660℃、鉄:1538℃)と比較すると高く、非金属の中でも非常に高い部類に属します。

この高融点は、シリコンが共有結合による三次元結晶構造を持っているためです。 各シリコン原子は4つの隣接原子と強固な共有結合を形成し、立体的に連続するネットワーク構造を作り出します。 この構造は、原子間の結合を切断するために非常に多くのエネルギーを必要とし、結果として高い融点を示します。

項目 単位
融点 1414
沸点 3265
密度(25℃) 2.33 g/cm³
モース硬度 7.0
結晶構造 ダイヤモンド型構造

3. シリコンの結晶構造と物理的特性

シリコンは「ダイヤモンド型結晶構造」を持つ典型的な共有結合性固体です。 これは炭素のダイヤモンド構造と類似しており、立方晶系に属します。

各シリコン原子は、4つの他のシリコン原子と共有結合を形成し、正四面体構造を構築しています。 この構造により、機械的強度・熱安定性・電気的制御性に優れた性質を発揮します。

主な物理特性

  • 高熱伝導率: 約150 W/m·K(室温)。
  • 高耐熱性: 1000℃を超えても化学的に安定。
  • 電気特性: 不純物濃度により導電性を自在に制御可能(ドーピング技術)。

4. 炭化ケイ素(SiC)との比較

シリコンと炭化ケイ素(SiC)はどちらもケイ素を含む材料ですが、その性質には明確な違いがあります。 SiCはシリコンよりもさらに高い融点(約2730℃)を持ち、熱伝導性・硬度ともに上回ります。

特性 シリコン(Si) 炭化ケイ素(SiC)
融点 1414℃ 2730℃
熱伝導率 約150 W/m·K 約490 W/m·K
硬度(モース) 7 9.5
主な用途 半導体、太陽電池、合金材料 研磨材、耐火材、パワーデバイス

炭化ケイ素の詳細は、炭化ケイ素(SiC)とは?特性と用途をご覧ください。

5. シリコンの主な用途

  • 半導体材料: ICチップ、CPU、トランジスタ、メモリデバイスなどの基盤材料。
  • 太陽電池: 単結晶シリコンおよび多結晶シリコンが太陽電池セルに利用される。
  • 高温構造材: シリコン系セラミックや合金に応用。
  • 化学用途: シリコンオイル、シリコンゴム、シリカゲルなどの原料。
  • 耐火材・研磨材: 酸化シリコンや炭化ケイ素と組み合わせ、耐熱部材に使用。

CanAbrasiveでは、炭化ケイ素(SiC)や酸化アルミニウム(Al₂O₃)などの高温用無機材料を取り扱い、 金属・セラミック加工における高精度研磨ソリューションを提供しています。

6. よくある質問(FAQ)

Q1. なぜシリコンは高融点なのですか?

強固な共有結合による三次元結晶構造を持つため、原子間の結合を切るのに大量のエネルギーが必要になります。

Q2. シリコンは金属ですか?

シリコンは「半金属」と呼ばれる中間的な性質を持つ元素です。電気を一部通すため、半導体材料として利用されています。

Q3. シリコンと炭化ケイ素の違いは?

SiCはシリコンよりも硬く、融点が高く、熱伝導性に優れています。高耐熱パワーデバイスや研磨材に適しています。

7. まとめ

シリコンは融点1414℃という高い耐熱性を持ち、電子・化学・材料工学のあらゆる分野で基盤となる元素です。 その安定した結晶構造と制御しやすい電気特性から、半導体や太陽電池だけでなく、セラミック・研磨分野でも重要な役割を果たしています。

炭化ケイ素(SiC)や酸化アルミニウム(Al₂O₃)などと並び、シリコンは高性能素材開発の中心にあります。 CanAbrasiveでは、高純度SiC・WFA・BFAなどの研磨材を通じ、世界の先端製造業を支えています。

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