JISとFEPA研削材規格の違いとは: JISは日本工業規格で国内中心、FEPAは欧州規格で国際取引に広く利用されます。粒度記号や測定方法が異なるため、輸出入や取引では換算表の確認が不可欠です。
JISとFEPA研削材規格の概要
日本市場で研削材(研磨材、砥粒)を取り扱う際に最も多く参照される規格は「JIS(Japanese Industrial Standards)」と「FEPA(Federation of European Producers of Abrasives)」です。
JISは日本工業規格として国内メーカーやユーザーに広く普及しており、日本の製造業における標準的な品質基準を定めています。一方FEPAは欧州研削材協会が制定した国際規格で、欧州を中心に世界的に広く利用され、輸出入や国際調達ではFEPA表記が必須となるケースが多いです。
両者は測定方法や表記体系が異なり、そのままでは互換性がないため、実務上は換算表を用いて対応する必要があります。
粒度記号と表記の違い
- JIS粒度: 主に「#(番号)」で表記されます(例:#24、#1000)。国内の砥石・研磨布紙で一般的。
- FEPA粒度: 「F」「P」「D」など用途別の記号で区別されます(例:F24、P1000)。Fは研削材、Pは研磨布紙用を意味します。
- 測定方法: JISはふるい・沈降法を基盤とし、FEPAは電子的な粒度分布測定や国際標準化されたふるい規格を用います。
JISとFEPAの対比表
以下に代表的な粒度の対比表を示します(簡略版)。実務では粒度分布範囲を含む換算表を利用してください。
用途 | JIS粒度(例) | FEPA粒度(例) | 粒径範囲(μm) |
---|---|---|---|
粗研削 | #24 | F24 | 600–850 |
中仕上げ | #80 | F80 | 180–212 |
精密仕上げ | #400 | F400 | 20–29 |
超精密仕上げ | #1000 | F1000 | 3–5 |
日本市場での利用実態
日本市場では、国内流通製品は依然としてJIS粒度が主流です。しかし輸出入に関わる取引やグローバル企業の調達ではFEPA表記が求められる場面が増えています。
特に炭化ケイ素や電融アルミナなど輸出入が盛んな製品では、JISとFEPA両方の表記を併記するのが一般的です。
規格選定のポイント
- 国内向け製品: 基本的にはJIS粒度を採用。
- 輸出・輸入品: FEPA粒度の併記を推奨。
- 調達仕様: 海外メーカーと取引する場合、FEPAが標準。
- 品質保証: 粒度分布の証明書(COA)を取得し、JIS/FEPA双方の換算を明示することが重要。
よくある質問(FAQ)
Q1. 日本国内の砥石購入ではJISとFEPAどちらが使われますか?
A1. 国内流通ではJISが基本ですが、輸入品や海外規格対応製品ではFEPA表記も併記されます。
Q2. 粒度番号は完全に一致しますか?
A2. おおよその粒径範囲は一致しますが、測定方法が異なるため厳密には完全一致ではなく、対比表を確認する必要があります。
Q3. 砥粒の粒度を海外顧客に説明する際はどうすればよいですか?
A3. JISとFEPAの両方の番号を併記し、粒径レンジを明記すると誤解が少なくなります。
Q4. JISとFEPA以外の規格は存在しますか?
A4. ANSI(米国規格)やGB(中国規格)なども存在し、国際取引では複数規格の換算表が求められる場合があります。
参考文献・規格
- JIS R 6001:研磨材の粒度試験方法
- FEPA Grain Standards: Federation of European Producers of Abrasives
- 日本産業標準調査会 (JISC)
- 日本研磨布紙工業会 技術資料(研磨布紙工業会)