Quick Answer
活性アルミナ(Activated Alumina)とは、化学式 Al₂O₃ の多孔質酸化物であり、 優れた吸着性能・触媒特性・熱安定性を兼ね備えた機能性セラミックです。 表面積が非常に大きく、気体・液体の水分吸着、触媒担体、脱フッ素剤、乾燥剤など 多彩な産業分野で活躍しています。
活性アルミナとは

活性アルミナ(Activated Alumina)は、酸化アルミニウム(Al₂O₃)を高温で焼成して得られる 多孔質の無機化合物です。粒子は球状で白色、多数の微細孔を有し、 その比表面積は150〜400 m²/gにも達します。
この特徴的な構造により、活性アルミナは吸着剤、触媒担体、乾燥剤、脱フッ素剤、研磨材など、 多岐にわたる用途で利用されます。化学的に安定し、再生使用も可能なため、 環境・エネルギー分野でも注目される素材です。
化学式と構造特性
活性アルミナの化学式は Al₂O₃ ですが、実際の製品では一部に水酸基(OH⁻)が残存しており、 より正確には Al₂O₃–x(OH)₂x(0 < x < 0.8)と表されます。
結晶構造は酸素イオンが立方最密充填(FCC)に近い配置をとり、 アルミニウムイオン(Al³⁺)がその八面体・四面体空隙に不規則に分布しています。 この構造が、活性アルミナの多孔性と吸着活性を支えています。
化学式 | 結晶構造 | 密度 | 融点 | 比表面積 |
---|---|---|---|---|
Al₂O₃ | 立方面心構造(FCC) | 3.2〜3.9 g/cm³ | 約2050℃ | 150〜400 m²/g |
製造方法
活性アルミナは、一般に水酸化アルミニウム(Al(OH)₃)やアルミン酸ゲルを 原料とし、高温(約1100〜1450℃)で焼成して製造されます。
製造プロセス概要:
- 原料調整:高純度の水酸化アルミニウムを脱水乾燥。
- 添加剤混合:エチレングリコールや有機繊維を添加し、粒径・細孔構造を制御。
- 焼成(カルシネーション):1100〜1450℃で加熱し、水分を除去して多孔質構造を形成。
- 冷却・分級:所定粒度(3〜8mm)に整粒し、最終製品化。
加熱条件や原料純度により、比表面積や細孔径分布が変化し、用途に応じた特性を調整可能です。
物理・化学特性
- 多孔性・高分散性:多数の微細孔を有し、ガス分子や水分子を効果的に吸着。
- 高吸着能力:水蒸気・二酸化炭素・フッ化物などへの選択吸着が可能。
- 触媒特性:表面の活性点により化学反応を促進。酸触媒・塩基触媒の担体として使用。
- 熱安定性:高温でも構造を保持し、1000℃以上での反応環境にも耐える。
- 再生可能:加熱による脱着で性能を回復できるため、繰り返し使用が可能。
主な用途と応用分野
1. 吸着剤・乾燥剤
活性アルミナは気体・液体の水分除去に優れ、石油化学、酸素製造、医薬、繊維、電子部品乾燥などで用いられます。 高湿度環境でも性能を保持し、加熱再生により繰り返し使用できます。
2. 触媒および触媒担体
石油化学、肥料製造、精製工程で酸化・脱水・脱硫反応を促進。 均一な細孔構造により、Ni、Pt、Cuなどの金属触媒を高分散に保持できます。
3. 脱フッ素剤・浄水用吸着材
飲料水や産業排水中のフッ素除去に使用されます。活性アルミナ表面の水酸基がフッ素イオンと反応し、 効果的に吸着・固定します。
4. 精製・脱色剤
過酸化水素液の精製、変圧器油の脱色、潤滑油の清浄化などに利用されます。
5. 研磨材・フィラー用途
活性アルミナは高強度かつ耐摩耗性があり、球状粒子として研磨媒体(ボールミル、振動ミルなど)に使用されます。 また、耐火コンクリートや高温断熱材の軽量骨材としても応用されています。
製品仕様
粒径範囲 | 形状 | 色調 | 比表面積 | 用途例 |
---|---|---|---|---|
3–5 mm | 球状 | 白色 | 200–300 m²/g | 乾燥剤・吸着剤 |
4–6 mm | 球状 | 白色 | 250–350 m²/g | 触媒担体 |
5–7 mm | 球状 | 白色 | 300–400 m²/g | 脱フッ素剤・精製用途 |
6–8 mm | 球状 | 白色 | 150–250 m²/g | 研磨媒体・断熱材 |
FAQ(よくある質問)
Q1. 活性アルミナと酸化アルミナの違いは?
活性アルミナは酸化アルミナ(Al₂O₃)を高温で焼成して得られる多孔質形態です。 一般的な酸化アルミナが構造安定・緻密なのに対し、活性アルミナは高比表面積・吸着性に特化しています。
Q2. 再生は可能ですか?
はい。120〜200℃で加熱脱着することで吸着能力が回復し、数十回の再利用が可能です。
Q3. 水処理への使用は安全ですか?
活性アルミナは無毒・不溶性であり、飲料水や工業用水処理で広く認可されています。
Q4. CanAbrasiveの活性アルミナはどんな特徴がありますか?
当社の製品は高純度・低ナトリウム仕様で、粒度分布が均一。 触媒担体・乾燥剤・研磨用途いずれにも対応します。
CanAbrasiveの活性アルミナ製品
CanAbrasiveは、酸化アルミナ系研磨材・触媒担体・乾燥剤用アルミナの専門サプライヤーです。 活性アルミナボール(3〜8mm)を中心に、安定した品質と粒度管理を実現しています。
- 白色溶融アルミナ(WFA):高純度・高硬度の研磨材。
- 褐色溶融アルミナ(BFA):高靭性で耐摩耗性に優れる。
- 酸化アルミナと焼成アルミナの違い
- お問い合わせ・サンプル依頼
まとめ
活性アルミナは、高比表面積・多孔性・熱安定性という特性を兼ね備えた多機能材料です。 化学・環境・精密加工の分野で広く活用され、再生利用性にも優れます。
CanAbrasiveでは、活性アルミナをはじめとする高品質な酸化アルミナ製品を日本市場向けに安定供給。 研磨材・触媒・吸着剤用途で最適なソリューションを提供します。