アルミナ(酸化アルミニウム)の融点・密度・化学反応式・用途を総合解説

アルミナ(酸化アルミニウム, Al₂O₃)は: 融点約2050℃、密度3.95–4.0 g/cm³を持つ高融点セラミックス材料です。化学式はAl₂O₃で、両性酸化物として酸・アルカリと反応します。研磨材・耐火材・電子部品・触媒担体など、幅広い産業用途に利用される重要な素材です。

酸化アルミニウムの組成式と化学反応式

アルミナは酸化アルミニウム(Al₂O₃)の別名であり、アルミニウムイオン(Al³⁺)2個と酸化物イオン(O²⁻)3個から構成される安定した化合物です。両性酸化物に分類され、酸・アルカリの双方と反応します。

代表的な化学反応式:

  • 酸との反応: Al₂O₃ + 6 HCl → 2 AlCl₃ + 3 H₂O
  • アルカリとの反応: Al₂O₃ + 2 NaOH → 2 NaAlO₂ + H₂O

この性質により、アルミナは酸耐性とアルカリ耐性の両方を有するため、化学工業や高耐久材として利用範囲が広がっています。

アルミナの融点(Melting Point)

アルミナは極めて高い融点を有する耐火性材料です。

  • 融点:約2050℃
  • 沸点:約2980℃

この高融点は、アルミナが耐火煉瓦、溶融炉内張り、鋳造用部材に最適である理由です。また、電子材料分野では高温環境下でも安定して動作できる基板や封止材として利用されます。

アルミナの密度(Density)

アルミナの密度は結晶構造や純度によって異なります。

  • α-アルミナ(安定相):3.95–4.0 g/cm³
  • γ-アルミナ(不安定相):3.6–3.8 g/cm³
  • 多孔質アルミナ:3.0–3.5 g/cm³(気孔率による)

α型は最も安定した結晶相で、緻密な構造を持つため密度が高く、研磨材や耐火材に適しています。一方、γ型は比表面積が大きいため、触媒担体や吸着材に利用されます。

結晶構造と物性

アルミナにはいくつかの結晶多形(ポリモルフ)が存在し、特性や用途が異なります。

結晶系 融点 密度 特徴 用途
α-アルミナ 六方晶 2050℃ 3.95–4.0 安定相・高硬度・耐摩耗性 研磨材・耐火材・セラミックス
γ-アルミナ 立方晶 不安定 3.6–3.8 比表面積大・触媒担体に有効 石油化学触媒、吸着剤
δ/θ-アルミナ 中間相 高温でαへ転移 3.7–3.9 遷移相、研究用途 高温材料の前駆体

アルミナの用途と応用分野

アルミナは特性の多様性から以下のように幅広い分野で利用されています。

  • 研磨材: 白色アルミナ(WFA)、褐色アルミナ(BFA)として砥石・研磨布紙に使用。
  • 耐火材: 高融点を活かし、製鉄炉、鋳造炉のライニング材に利用。
  • 電子材料: 絶縁性と熱伝導性を併せ持ち、ICパッケージ、LED基板、ヒートシンクに採用。
  • 触媒担体: γ-アルミナの比表面積を活かし、石油精製・排ガス処理触媒に使用。
  • 医療分野: 人工関節・歯科セラミックなど、生体適合性に優れた応用。

よくある質問(FAQ)

アルミナの組成式は?

Al₂O₃ です。アルミニウム原子2個と酸素原子3個から構成されます。

アルミナは酸に溶けますか?

常温の水にはほとんど不溶ですが、強酸や強アルカリには反応します。

融点と耐火材用途の関係は?

融点が約2050℃と高いため、耐火レンガや炉の内張り材に適しています。

白色アルミナと褐色アルミナの違いは?

白色は高純度で精密用途に、褐色は鉄分を含み靭性が高いため鋼材加工向けです。

参考文献・規格

  • JIS R 6121: アルミナ研削材規格
  • ISO 8486: Fused Alumina Specification
  • CRC Handbook of Chemistry and Physics
  • ASM Handbook: Properties and Selection of Ceramics
  • Springer: "Alumina: Fundamentals and Applications"

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