白色電融アルミナ(WFA)完全ガイド ― 特長・性質・用途を徹底解説

本ガイドでは、白色電融アルミナ(WFA=White Fused Alumina) の結晶構造・物理特性・製造プロセスから、 精密研磨耐火材表面処理 など、幅広い分野での応用例を詳しく解説します。 CanAbrasive は高純度 WFA を日本および世界各地の産業向けに安定供給しています。

Quick Answer: 白色電融アルミナ(WFA=White Fused Alumina)は、高純度アルミナを原料に電気アーク炉で溶融・冷却して得られる 高硬度・高純度のアルミナ系研磨材です。モース硬度はおおよそ9、真比重は3.95–4.00 g/cm³耐熱性・耐摩耗性・耐薬品性に優れ、鉄分をほとんど含まないため、 ステンレス・精密研磨・電子部品・医療機器などの高純度用途に最適です。

目次

1. 白色電融アルミナ(WFA)とは

白色電融アルミナ(WFA)は、純度の高い酸化アルミニウム(Al₂O₃ 99%以上)を主原料とし、 約2000℃の電気アーク炉で溶融・冷却して得られる人工コランダムです。 不純物(Fe₂O₃・TiO₂)が極めて少ないため白色透明の結晶を示し、 高硬度・高耐熱・高絶縁性を備えたクリーンな研磨材として、 ステンレス、光学ガラス、電子基板、医療部品などの精密分野で広く利用されています。

2. WFAの主な特長(数値と理由)

  • ■ 高硬度(モース硬度 ≈ 9)
    コランダム結晶由来の非常に高い硬さにより、精密研磨・鏡面仕上げ・刃具研削などに適します。 切削性が鋭く、安定した表面粗さを実現します。
  • ■ 高純度(Al₂O₃ ≥ 99%)
    鉄・チタンなどの着色成分をほとんど含まず、 低汚染仕上げ・非鉄金属加工・電子材料用途に理想的です。
  • ■ 優れた耐熱性・耐火性
    融点は約2050℃。 高温下でも安定しており、耐火レンガ・キャスタブル・炉内被覆材に使用されます。
  • ■ 優れた電気絶縁性
    絶縁抵抗が高く、電子部品・絶縁フィラー・セラミック基板など電気用途にも採用されています。
  • ■ 化学的安定性
    酸・アルカリに対して強い耐性を持ち、化学的に安定。 化成処理前後の精密ブラストでも汚染リスクが低いです。
  • ■ 高反射性・白色度
    高純度アルミナ特有の高反射率・白色光反射性を有し、 光学部品・照明・塗料添加材などにも利用されます。
  • ■ 清浄度の高さ
    磁選・酸洗処理により金属不純物を極力除去。 医療・食品機器部品などの用途にも安心して使用できます。

3. 代表的な物性値(参考値)

項目 代表値・備考
主成分 Al₂O₃ 99.2–99.6%
真比重 3.95–4.00 g/cm³
嵩密度 1.60–2.10 g/cm³(粒度・整粒条件による)
モース硬度 ≈ 9
ヌープ硬度 約 2000–2200 kg/mm²
熱膨張係数 7–8 ×10-6/K
熱伝導率 25–35 W/m·K(条件による)
融点 約 2050℃
電気特性 高抵抗の絶縁体
形状 ブロッキー(blocky)またはシャープエッジ
色調 白色~淡灰色

※上記は代表値です。炉条件・整粒条件・粒度分布などにより変動します。詳細はTDSをご参照ください。

4. 製造プロセス(電融→冷却→分級)

  1. 原料: 高純度アルミナ粉末を調合。
  2. 電融: 約2000℃で溶融し、白色コランダム結晶を生成。
  3. 冷却・破砕: インゴットを冷却後、破砕・粉砕。
  4. 整粒・磁選・酸洗: 粒度分級・磁選・酸洗により不純物を除去。
  5. 品質検査: 化学成分・粒度・比重などを厳格に確認。
  6. 包装・出荷: 25 kg袋または1 tフレコンに充填。

5. 用途別の使いどころと推奨粒度

  • 精密研削・鏡面仕上げ: F46–F220
    切削性が高く、ステンレス・工具鋼・セラミックスの仕上げに最適。
  • ブラスト・表面処理: F80–F220
    低鉄・無汚染仕上げが求められる装飾・医療部品の前処理に。
  • 耐火材骨材: 粗粒~粉末
    高純度で溶出物が少なく、高温部の構造材に適します。
  • 電子材料・絶縁充填剤: 微粉
    高絶縁性と熱伝導性を活かした樹脂充填や基板用フィラーとして。
  • 光学・反射用途: 微粉
    白色度・反射率を活かした照明・塗料・コーティング用途。

6. WFAとBFAの違い(使い分け)

項目 WFA(白色電融アルミナ) BFA(褐色電融アルミナ)
純度 Al₂O₃ 99%以上 Al₂O₃ 95–96.5%
靭性 中~高(切れ味重視) 高(タフ)
切削性 精密研磨・仕上げ向け 重研削・ブラスト向け
コスト 高純度ゆえやや高価 コストパフォーマンス良好
代表用途 精密研削、ステンレス仕上げ、電子・医療用途 重研削、耐火材、ブラスト

7. 粒度・形状・再利用性の考え方

  • 粒度選定: 精密研磨には細粒(F150–F220)を推奨。 表面処理や鏡面仕上げに応じて最適粒度を選定します。
  • 形状: シャープな破砕面を持つ粒子で均一な研磨痕を形成。 整粒処理で流動性・分散性を最適化できます。
  • 再利用性: 高硬度ながらも脆性があるため、 高精度用途では再利用よりも一回使用の清浄度を優先する傾向があります。

8. 取扱い・SDS/TDS

WFAは不燃性の無機粉体ですが、粉じんの吸入を避けるため、 防じんマスク・保護メガネ・手袋の着用を推奨します。 乾燥した環境で保管し、開封後は密閉してください。 詳細はSDS/TDSをご参照ください。

9. FAQ(よくある質問)

Q1. WFAの標準粒度レンジは?
A. FEPA F12–F220 を中心に、マイクロパウダーまでラインナップ。用途に合わせて選定可能です。

Q2. ステンレス研磨にはWFAが最適ですか?
A. はい。鉄分を含まないため汚染リスクが低く、 ステンレス・非鉄金属の仕上げにはWFAが推奨されます。

Q3. WFAとBFAのコスト差は?
A. WFAは高純度製造のため単価は高めですが、 清浄度・仕上げ品質・再研磨回数の削減でトータルコストを抑えられる場合があります。

Q4. 耐火用途での使い方は?
A. 微粉~粗粒を配合し、耐摩耗・高温強度・低汚染を両立する設計が可能です。

Q5. 価格や納期は?
A. 粒度・等級・数量・納入先によって異なります。 お問い合わせ時に用途・粒度・年間使用量・希望港をご提示ください。


関連リソース:
WFA Guide(本ページ)BFA vs WFA:違いと選び方WFAの研磨・耐火用途製品ページ:白色電融アルミナ(WFA)

CanAbrasiveへのお問い合わせ:
粒度表・在庫・納期・価格はお問い合わせフォームよりご連絡ください。 技術サポート(粒度選定・精密仕上げ条件)も承ります。